【本場四川のよだれ鶏】はソースが違う!病みつきになる辛さとコク
口水鶏
口水鸡は四川料理の冷菜のひとつです。冷菜とはその名の通り冷たい料理のことで、反対に温かい料理のことは热菜と言います。
中国では冷菜は食事の最初に食べることが多く、体を冷やす冷菜の食べすぎは体に良くないと考えられています。
口水鸡の原型は巴蜀の時代に四川で誕生したと云われています。
新鮮な丸鶏を絞め、流水で綺麗に洗った後に蒸したり茹でたりすることで臭みを取り除きます。
鶏皮は黄色に輝き光沢を帯びます。
四川や重慶の店先ではよく丸鶏を吊るした光景を目にします。
こうした丸鶏は北京や香港などでも見られますが、口水鸡の特徴はそのソースにあります。
四川で親しまれている麻辣酱をベースに作ったタレに花椒などのスパイスをふんだんに使います。
完成した口水鸡に一切臭みは無く、ぷりぷりとした鶏肉に麻辣ソースの辛くも深い味わいが絡み合い、一度食べたら忘れられない刺激的な味です。
名前の由来
口水とは口の水、つまりよだれを意味します。料理の名前としては少し品が無いように聞こえますが、その名前の由来には二説あります。
一説は四川省乐山沙湾出身の郭沫若(1892年-1978年)という作家の話にまつわります。
郭は現代文学や歴史作家として知られ、若い時には日本の九州帝国大学(現九州大学)に留学した経験もあります。
日中戦争時には日本人の妻と大連に移住を経験するなど波乱万丈な人生を歩みました。
代表作は詩集の女神です。
そんな郭がある著書の中で、「若い時に四川で食べたあの白くて辛くて美味しい鶏を思い出すだけでよだれ(口水)が出てくる」と書きました。
当時は特に名もなかった鶏料理がこの時から口水鸡と呼ばれるようになったと言われています。
もう一説は非常にシンプルですー「この鶏料理を食べると麻辣味で舌が痺れてよだれが出るから、口水鸡と呼ぼう!」とした説です。
どちらの説も口水鸡の特徴を捉えていて、それほど魅力的な味だということでしょう。
注文方法・調理法
巴蜀の時代から四川で親しまれてきた口水鸡はお隣の重慶のみならず中国全土に波及しました。
また近年日本でも中華料理の定番の一つとして”よだれ鶏”として認知されています。
本場の四川や重慶では口水鸡のテイクアウト専門のお店やチェーン店が数多くあります。
店先には丸鶏が陳列され、好きな部位を指定して買うことが出来ます。
部位によっては値段は異なり、例えば”上半身の半身だけ”、”下半身全部でも足は無し”など細かくオーダー出来ます。
注文後に店員さんが目の前で鶏を切り分け、大きなボウルに入れます。
カウンターには10種類以上のタレや調味料が入った甕が並び、店員さんが手際よくお玉やスプーンを使ってタレをボウルに入れミックスしていきます。
お店ごとに独自の秘伝のタレがあり、中には松茸を使った豪華なタレもあります。
タレや調味料ごとにお玉の大きさやスプーンの掬う回数は異なり、その絶妙な配合と店員さんの匙加減が味を左右します。
熟練の職人さんの調理風景はリズミカルで美しく、多くのお客さんが動画を撮るほどです。
重慶で口水鸡のお店を見つけたときにはぜひよって見てください!
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