”燃える麺” から ”板の麺”…予想の斜め上を行く中国のラーメン

2024年12月3日その他, グルメ, 大陸中国外伝

日本のラーメンの原型となった中国の拉麺と麺文化。広大な中国には地方ごとに様々な麺料理が息づいています。中には日本でも馴染みのあるものから似て非なるもの、全く異なる発想の麺まで。各地方の名物麺料理を一挙に紹介していきます。

岐山臊子面

臊子面は中国北西部の伝統料理です。臊子とはみじん切りの豚肉の意味です。スープに新鮮な豚肉の油を使うのが特徴で、数多くの香辛料と合わさり深いコクを生みます。寒い冬に身体を温めるのには最適の麺ですね。

阳春面

中国の麺料理の中でも一際シンプルなのが広東省の阳春面。醤油と豚の油を入れたお椀にお湯と茹でた細麺を注いで、ネギを散らせば完成です。日本のソーメンや温麺を想起させます。疲れた胃がホッとする様な一杯ですね。

河南烩面

河南の煮込み麺の由来は唐の太宗の李世民が幼い時の話に遡ります。ある冬の寒い日に風邪を引き苦しんでいた李世民は、回族(中国最大のイスラム教徒集団)の老婦人と息子が作った馬や羊、牛などで作ったシチューを頬張るとたちまちに回復しました。そして李世民が権力を握った後に老婦人と息子に褒美を与え、河南の煮込み麺が次第に広まっていきました。現在でも由来の通り栄養価の高い麺として親しまれています。

四川担担面

日本でも人気の担担(ダンダン;天秤棒の意味)麺は四川省発祥。1841年頃に成都で陳包包というニックネームの男性が天秤棒に七輪や鍋、麺や調味料など一式を担いで売り歩いたことに由来します。スープも担ぐとなると大変なため、汁なしの担担麺が広まりました。現在でも四川では汁なしが主流です。

宜宾燃面

担担面と同様に四川に端を発するのが宜宾燃面です。花椒(ホアジャオ)や八角を染み込ませた胡麻油がたっぷりかかった油そばです。クルミやピーナッツなどをまぶして食べます。以前は大量の油が入っていたため、宜宾の麺は火をつければ燃えると冗談混じりに言われていたので燃面の名前が付きました。ただし実際に火が付く事例もあった事と健康への配慮のため、現在では油の量を抑えて提供されています。

厦门沙茶面

中国南東部の厦门では一風変わった拉麺が親しまれています。沙茶酱(シャチャソース)は大豆やニンニク、パクチー、干しエビなどを使ったソースで独特の甘みがあり福建省や台湾で広まっています。厦门沙茶面ではエビの風味を堪能できます。

安徽板面

こちらは安徽の板面(バンミエン)。麺が板の様に平たく太いことからこう呼ばれます。もちもちの触感が面白く、ブロック状の羊肉がピリッと辛いスープとよく合います。ゆで卵や野菜がのる点では日本のラーメンと似ていますね。栄養と食べ応え満点の麺ですが、現地ではこれを500円以下で食べられます。羨ましい限りですね。

宁夏揪面片

内モンゴル自治区の隣に位置する宁夏を訪れる観光客が必ず食べるのが宁夏揪面片です。平たく伸ばした麺帯を手でちぎりながら鍋に入れていきます。スープと具材に羊肉を使うのが特色です。

陕西油泼面

陕西省の油そばは平打ちの極太麺に鶏ベースのタレをかけていただきます。ネギやパクチー、辣椒粉、胡麻、辣椒油などが絡み合い、さっぱりとしていますがコクのある麺です。つるっとした喉ごしも心地よく、時々無性に食べたくなる拉麺です。

昆山奥灶面

海に面する江蘇省では中国の麺には珍しく魚介類であるニシンが使われます。熱々のスープに鴨のチャーシューをのせていただきます。魚の入ったスープや分厚いチャーシューに日本のラーメンと繋がるものを感じます。

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Posted by Shiba Shiba