【大足石刻】圧巻の石像と彫刻の美・ユネスコ世界文化遺産

2024年12月3日大足区

アクセス

大足石刻(Dazu Rock Carvings)は重慶市郊外、北西部の大足区に位置し、市内からは高速を使って車で片道約1時間45分です。

またバスを利用する場合、重慶北駅前の”龙头寺汽车南”バス停や重慶駅近くの”菜园坝长途汽车”バス停から乗り、所要時間はおよそ2時間です。

大足区中心部からも直行バスが20分おきに出ています。

歴史

大足石刻は重慶大足区の石窟に彫られた石像群です。

紀元前2世紀からユーラシア大陸ではシルクロードを通じて西洋と東洋の物や人、文化の交流が盛んになりました。

二世紀後半にインドのクシャナ朝が中国の西南地域に領土を拡大するのに伴い、仏教が中国に伝来しました。

シルクロードの東側(中国)の起点であった西安(一説には洛陽)にほど近い重慶にも西洋の影響が見られました。

中でも石や洞窟を掘る石窟技術・彫刻技術が3世紀にインドから唐にもたらされると、重慶で大足石刻が彫り始められました。

現在の重慶の大足区に広がる洞窟や岩を掘り、主に石像が掘られました。

石窟の規模は広大で、一時代では完成に至りませんでした。

唐の時代に始まった作業は唐→宋→元→明と多くの王朝に受け継がれ、毎日石像が彫り続けられました。

王朝が変われば過去の王朝の遺産は破壊され新しいものに作り変えられるのが通例ですが、大足石刻がそうした影響を受けなかったのにはいくつか理由が考えられます。

  1. 大足石刻は長く未完成であり、王朝のシンボルとして負の遺産と認知されるほどの知名度はなかったこと。
  2. 大足石刻の石像は仏教・儒教・道教の三教が混在していて、宗教的に価値の高いものを破壊することについて各王朝に抵抗があったこと。
  3. 未完成の大足石刻を当代で完成させることによって、新たな王朝の遺産とするため、どの王朝も石窟作業に積極的だったこと。

そして気の遠くなるような長い年月をかけて大足石刻は遂に清の時代に完成しました。

見どころ

大足石刻には各王朝の文化の特徴が見られ、特に唐と明の時代の彫刻技術や文化の影響を大きく受けています

三教に基づいた石像が並ぶ中、地獄や天竺のストーリーも壁画に描かれています。

大足石刻に訪れた人が歩きながら見ていくと、各宗教に語り継がれる伝説を目で追って行けるように出来ています。

中には当時虎を見たことの無かった職人が、虎の姿を想像して掘った石像もあります。

虎を知っている現代人が見ると大きい猫に見えどこか和みますが、当時の職人は限りある文物・情報から最大限創造力を膨らませて掘ったのでしょう。

現在のように題材となる写真や鮮明な絵が無かった時代に、頭の中のイメージをたよりに大きな石像を掘ったと考えると、底知れない労力と努力が感じられます。

千の手を持つ千手観音像は圧巻で、技術力の高さが垣間見れます。

以前には宗教的な価値の高さから仏像が盗難にあったこともありました。

大足石刻はその彫刻技術の高さ・宗教的な意味合い・ストーリー性の豊かさから9世紀~13世紀における世界有数の芸術作品の評価を得ています。

そして1999年には大足石刻一帯がユネスコ世界文化遺産に登録されました。

基本情報

基本情報

営業日:月~日
営業時間:08:30—18:00(チケット売り場は16:30で閉まります)
価格:以下表を参照ください。6歳以下(身長120㎝以下)は無料です。他に学生割引や高齢者割引もありますが中国パスポート限定なので省略します。
観光時間目安:宝顶山石刻のみで3時間、北山石刻とセットで5時間ほどです。

チケット価格表12月~2月3月~11月
宝顶山石刻110元115元
圣寿寺15元15元
北山石刻70元70元
宝顶山・北山石刻(二日間有効)120元140元